●急性中耳炎
感冒や上気道炎などの症状の後、急に耳が痛くなります。痛みがよくなった後でも耳が詰まったか感じや聞こえにくさが残ることがあります。炎症が強いと耳から汁が出ることもあります。鼓膜を観察すると鼓膜の発赤や腫れ、鼓膜の奥に膿が溜まってみえることもあります。細菌感染が引き金になっていることが多いとされ、抗生剤や消炎剤を使用し治療しますが、風邪や治療も合わせて行います。高熱が出たり、痛みが強い場合など以外は鼓膜切開は極力しない方針ですが、場合によっては鼓膜を切開して溜まった膿を出すこともあります。集団生活に入り、感染を繰り返すことで中耳炎にもなることがあります。また耳漏が出るような場合には治療が長引くこともあります。
●滲出性中耳炎
副鼻腔炎や感冒後などに鼻水が長期続いていると、鼓膜の奥にある中耳という場所に液体が貯留し難聴や耳の詰まった感じ、時に耳鳴りがひどくなることがあります。
鼓膜を観察すると、中耳という場所に液の貯留が認められます。鼻からの炎症のために調子が悪くなる場合も多く、鼻の治療も併せて行います。長期間治療にかかることもあり、長引く場合や難聴が強い場合には鼓膜切開やチューブを留置することもありますができるだけ鼓膜を傷つけない形での加療を目指します。
●めまい
ぐるぐる回るような回転性めまいのほかふらつき、ふわふわ感など自覚症状があり吐き気、耳鳴り、閉塞感、難聴も伴うこともあります。三半規管や前庭など内耳が何らかの原因で悪くなることがあると言われていますが、原因の特定が困難なこともあり、めまいの検査を行い、耳鼻科以外の疾患も念頭に入れMRI等の画像診断も積極的に行います。
●突発性難聴
突然耳が聞こえが悪くなり、時にめまいを伴う場合あります。聴力検査にて難聴が認められます。軽度な場合には外来でステロイド、血流改善剤、ビタミン剤で治療を行いますが、高度な場合には入院をお願いすることもあります。早ければ早いほど治療効果が期待できますので、突然の難聴の自覚が強い場合には早期の受診をお勧めします。
●メニエル病・メニエル症候群
めまいの症状に難聴や耳鳴り、耳がつまった感じなど耳の症状があり、症状の増悪を繰り返す病気です。ストレスも関連があるとされています。治療は血流改善剤・ビタミン剤・ステロイド等を使用し、治療を行います。
●アレルギー性鼻炎
くしゃみ、鼻水、鼻つまりが3大症状とされており時に目のかゆみ、のどのかゆみ、咳などほかの症状も出ることがあります。
アレルギー性鼻炎はアレルゲンといってアレルギーの原因となる物質が鼻の粘膜に付着し反応を起こして症状がでてきます。
鼻の粘膜が白っぽくなり、粘膜が腫れ、多量の鼻水が出たりします。そのため鼻水の検査や血液検査でアレルギーの診断をすることもあります。
一般的に抗アレルギー剤の内服や点鼻治療、ネブライザー治療を行いますが、アレルゲンを吸い続けていれば治療で一時的に抑えられても治療を中止すると再び悪くなります。また、アレルギー物質に対して免疫をつけるための減感作療法も効果があります。
アレルギーのことを理解しながら治療を進めるとよいと思います。
●急性副鼻腔炎、慢性副鼻腔炎
感冒後などに粘調な鼻水、鼻つまり、くしゃみが続き、頭痛、ほほの痛み(頬部痛)、発熱も出てくることがあります。
鼻の中は粘膜の腫れや膿を含むような鼻水が沢山溜まったり、喉に痰として下りたり、喉に引っかかったりします。レントゲンでは副鼻腔という空洞にの粘膜が腫れたり膿汁の貯蓄を確認することもあります。
一般的に抗生剤や消炎剤使用し鼻の処置、吸入などで鼻の中の環境を改善すれば保存的に治療が終わることができますが、治療に反応しなかったり、鼻炎があり症状を繰り返す場合や、鼻の中に鼻茸などがある場合には手術治療が必要なことがあります
●急性扁桃炎
のどの痛みや、高熱がでたり扁桃腺が赤くはれたり白い膿の付着が見られます。一般的には抗生剤などで数日で収まりますが、高熱が続く、食事がのどに通らない、口が開かないなど強い症状が出ている場合には、扁桃腺の炎症が周囲の組織に広があったり膿がたまって喉に注射針で穿刺して膿を抜いたり、切開をして排膿することもあり、さらに重症の場合、入院治療が必要なことがあります。また扁桃炎を繰り返す場合には手術で扁桃腺を取り除くこともあります。
●声帯ポリープ、結節
風邪の後や声の使いすぎ、過度な喫煙などで声のかすれ(嗄声)の症状が続き、ファイバースコープなどでのどの奥を観察すると声帯の両側、もしくは片側の一部に腫膿が認められます。一般的には良性で声の安静や清潔を保ったり内服や吸入などの消炎剤を使用すると声の改善が認めれれますが、長期放置していたり、無理に声を使用していたりする場合には手術で取り除くこともあります
●喉頭癌
声がかすれたり(嗄声)血痰が出たり、息苦しい感じが続き、ファイバースコープで観察すると声帯にしこりが認められることがあります。明らかに癌の状態と癌に近い状態(白斑症)もあり、細胞の検査をして診断してゆきます。
●睡眠時無呼吸症候群
睡眠時無呼吸症候群とは夜間頻繁にいびきや無呼吸が起こり、身体ににさまざまな影響が引き起こされることがあります。一般的には1時間に10秒以上の無呼吸が5回以上認められる場合をいいます。具体的には夜間深い眠りが取れていないために昼間に眠気が強くなり、居眠り事故を起こしやすくなったり、メタボリック症候群の関与、高血圧、糖尿病なども関与することが知られています。ご家族にいびきや無呼吸、苦しそうに寝ているなどと指摘される場合は注射が必要です。原因には、鼻つまりなどで呼吸がしにくい、のどの中が狭いなどがあり、原因に対して治療を行うことで改善されることがあります。
また内科や歯科的な関与もある場合には必要な治療や装具を作成したり、無呼吸を抑制するためのマスクをして睡眠する持続式陽圧呼吸療法(C-PAP)という治療があり効果を上げており、当院でも検査で無呼吸指数の高い人はC-PAPをお勧めしております。この診断には家庭で持ち帰っていただき検査する簡易検査や病院に滞在し夜間の睡眠状態を調べる検査法もあります。
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